肥満症
肥満症
兵庫医科大学病院勤務時代、肥満外科外来を立ち上げに参加させていただきました。糖尿病内分泌代謝科、上部消化管外科、精神科、看護科、栄養科、リハビリ科で減量チームを作り、チームでたくさんの患者さんの治療・減量に関わってきました。減量をすることは簡単ではありません。一人の努力では限界もあります。クリニックスタッフ全員で減量できるようにサポートしていきます。
肥満に伴って糖尿病、高血圧症、脂質異常症などを合併し、減量が必要とされる病態が肥満症になります。単純性肥満と内分泌疾患などに伴う二次性肥満があり、単純性肥満でも内臓脂肪の蓄積は、メタボリックシンドロームの基盤となり、他の生活習慣病や動脈硬化性疾患の危険性が高まるといわれています。重度の肥満症では生活指導と併せて、薬物療法や超低カロリー食事療法などが行われることがあります。
BMI(体重㎏÷身長m÷身長m)25㎏/m²以上が肥満になります。肥満により健康障害が生じているものを肥満症といいます。BMIの増加は、心筋梗塞や脳梗塞など重大な合併症の死亡リスクを高めます。
肥満症には下記の通り多くの合併症があります。
その他に、悪性疾患(大腸がん、膵臓がん、肝臓がん など)、胆石症、静脈血栓症、肺塞栓症、気管支喘息、胃食道逆流症などがあります。
やはり生活習慣の改善が一番の治療法になります。
食事療法:体重、生活習慣によって1日の栄養量を考える必要があります。主治医、看護師と日々の生活を見直し、減量するための1日の必要カロリーを話し合いましょう。カロリーだけではなく栄養のバランスも大切です。糖質、タンパク質、脂質のバランスは難しい問題です。管理栄養士と自分にあった食事内容を決めていきましょう。食事は生活の中で非常に大切な習慣になります。しんどすぎると食事療法は続けられません。そのため、無理のない目標を設定して続けられるように一緒に頑張っていきましょう。
BMI 25~35の肥満症に使用できる肥満症のお薬はありません。糖尿病を合併している場合、減量に有効とされる薬剤もあります。患者さん一人一人の状態に合わせた治療を提案させていただきます。
※兵庫医科大学病院で行っている治療です。
肥満症は全世界で問題になっています。生活指導、薬物治療ではうまくいかない方もいます。その時に治療として挙げられるのが、肥満外科手術になります。日本で唯一保険診療が認められている肥満外科治療は、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術になります。この治療は、いままでの内科的治療では難しかった大幅な減量を可能にしました。それだけではなく糖尿病、高血圧、脂質異常症など肥満による合併症を劇的に改善させます。さらに減量することで、心筋梗塞、脳梗塞のリスクを低下させ、死亡リスクも軽減することができました(※文献1,2,3)。つまり減量することで健康な寿命を延ばすことが可能になりました。
この治療には手術の条件がいろいろあります。興味をお持ちの方はご相談ください。