若年層の糖尿病とは!
- 2026年5月3日
- 糖尿病
若くても安心できない?20代・30代から増えている「若年層の糖尿病」とは
みなさん、こんにちは。阪急芦屋川駅前の内科・糖尿病内科「芦屋まつおクリニック」、院長:松尾俊宏(まつおとしひろ)です。このコラムコーナーでは、私の専門分野である糖尿病や内分泌代謝疾患、肥満症、そして訪問診療や終末期医療などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに
「糖尿病は中高年の病気」――そのようなイメージを持っている方は多いかもしれません。しかし近年、20代・30代といった若年層でも糖尿病を発症する人が増えていることが大きな問題となっています。
「若いから大丈夫」「まだ健康だから問題ない」と考えているうちに糖尿病が進行し、将来の健康や生活の質(QOL)に大きな影響を及ぼすケースも少なくありません。
今回のコラムでは、若年層に増えている糖尿病の特徴や背景、注意すべき生活習慣、そして早期受診の重要性について解説していきたいと思います。
【糖尿病とはどのような病気?】
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気です。
本来、食事によって上昇した血糖値は、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって適切にコントロールされます。
しかし次のような状態になると血糖値がうまく下がらなくなります。
・インスリンの分泌量が少ない
・インスリンの働きが弱くなる(インスリン抵抗性)
その結果、血糖値が高い状態が続き、糖尿病を発症します。
糖尿病は初期症状が少ないため、気付かないまま進行することが多い病気です。進行すると全身の血管や神経にダメージを与え、さまざまな合併症を引き起こします。
【糖尿病の主な合併症】
糖尿病が長期間続くと、以下のような合併症が起こる可能性があります。
①細い血管の障害
・糖尿病網膜症(視力低下・失明)
・糖尿病腎症(腎機能低下・透析)
・糖尿病神経障害(しびれ・感覚低下)
②太い血管の障害
・心筋梗塞
・脳梗塞
・動脈硬化
これらは命に関わる重大な疾患につながることもあるため、早期発見・早期治療が重要です。
【なぜ今、若年層の糖尿病患者が増えているのか?】
近年、20代・30代で糖尿病やその予備群と診断される人が増えています。
その背景には、社会や生活環境の変化が大きく関係しています。
①食生活の変化
現代はコンビニやファストフード、フードデリバリーなど、手軽に食事ができる環境が整っています。しかしその一方で、
・高カロリー
・高脂質
・高糖質
の食事が増え、栄養バランスが崩れやすくなっています。
また、夜遅い時間の食事や間食が増えることも、血糖コントロールを悪化させる要因になります。
②運動不足
デスクワーク中心の働き方や、移動手段の便利さによって、日常生活で体を動かす機会が減っています。
運動不足になると、
・筋肉量が減る
・基礎代謝が低下する
・インスリンの働きが弱くなる
といった変化が起こり、糖尿病のリスクが高まります。
③ストレスと生活リズムの乱れ
現代社会では、仕事や人間関係などのストレスを抱える若者も少なくありません。さらに、
・睡眠不足
・夜型生活
・不規則な食事
といった生活習慣の乱れは、ホルモンバランスを崩し、血糖値のコントロールを難しくします。
【糖尿病になりやすい若者の生活スタイル】
次のような生活習慣がある方は、糖尿病リスクが高い可能性があります。
①食生活の特徴
・朝食を抜くことが多い
・外食やコンビニ食が中心
・甘い飲み物(ジュース、エナジードリンクなど)をよく飲む
・夜遅くに食事をする
特に糖質の多い飲料は、血糖値を急激に上昇させるため注意が必要です。
②運動習慣が少ない
・ほとんど運動をしていない
・通勤や通学も車・電車中心
・休日は家で過ごすことが多い
運動不足は肥満だけでなく、インスリンの働き低下を招きます。
③体重増加や内臓脂肪
若い頃は多少太っても問題ないと考える方もいますが、内臓脂肪の増加は糖尿病の大きなリスク要因です。特に、
・お腹まわりが太くなってきた
・急に体重が増えた
という方は注意が必要です。
【若くして糖尿病になると人生にどんな影響がある?】
20代〜30代の若年で糖尿病を発症すると、病気と付き合う期間が長くなるため、将来的な健康リスクが高くなる可能性があります。
①合併症リスクが高まる
糖尿病の合併症は、血糖値が高い状態が長く続くほど発症しやすくなります。
若い時期から糖尿病がある場合、
・40代・50代で合併症が出てくる
・動脈硬化が早く進む
といったケースもあります。
②生活の制限
糖尿病の治療では、
・食事管理
・運動習慣
・定期的な通院
が必要になります。病気が進行すると、日常生活や仕事にも影響が出ることがあります。
【医療費の負担】
長期的な治療や合併症治療が必要になると、医療費の負担も大きくなります。若いうちから健康管理を行うことは、将来の生活の質(QOL)を守ることにもつながります。
若者が糖尿病内科を受診した方がよいタイミング
糖尿病は自覚症状が少ないため、気づいたときには進行していることもあります。次のようなサインがある場合は、早めに医療機関で相談することをおすすめします。
①体の変化
・のどが異常に渇く
・水分をたくさん飲む
・トイレの回数が増える
・急激な体重減少
・疲れやすい
②健康診断で指摘された場合
・血糖値が高い
・HbA1cが高い
・「糖尿病予備群」と言われた
こうした指摘を受けた場合は、早めの精密検査が重要です。
【家族に糖尿病の人がいる】
糖尿病は遺伝的な要因も関係しています。家族に糖尿病の方がいる場合は、若くても定期的な検査を受けることが大切です。
【当院の糖尿病診療の特徴】
当院では、日本糖尿病学会糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、総合内科専門医の資格を持つ医師が診療を行っています。
患者さま一人ひとりの生活背景を考慮しながら、無理なく続けられる治療を提案しています。
①栄養士による栄養指導
糖尿病治療では、食事管理が非常に重要です。当院では管理栄養士による栄養指導を行い、
・食生活の改善
・食事バランスのアドバイス
・外食時のポイント
などを具体的にサポートしています。
②フットケアの実施
糖尿病では神経障害や血流障害により、足のトラブルが起こりやすくなります。
当院ではフットケアを実施し、
・フットケアの必要性を説明
・足のチェック(血流の状態、知覚の状態、爪と皮膚のトラブルがないかを確認)
・日常生活でのフットケアの方法を説明
・自分でケアが困難な方:看護師が爪切りやたこ・魚の目の処置など
を行っています。
【合併症の早期発見のための検査】
糖尿病の合併症を防ぐため、当院では以下の検査を行っています。
・動脈硬化検査(血管年齢検査・頸動脈エコー)
・神経伝導速度検査(末梢神経障害の評価)
こうした検査により、合併症を早期に発見し、適切な治療につなげています。
【若いうちから血糖管理を意識しましょう】
糖尿病は決して中高年だけの病気ではありません。現代の生活環境の変化により、20代・30代でも発症するケースが増えています。
特に次のような方は注意が必要です。
・不規則な生活をしている
・外食が多い
・運動習慣がない
・健康診断で血糖値を指摘された
糖尿病は早期発見・早期治療によって進行を防ぐことができる病気です。
「まだ若いから大丈夫」と思わず、少しでも気になる症状や検査結果があれば、早めに糖尿病内科を備えている、芦屋まつおクリニックまでご相談ください。
将来の健康を守るためにも、今から血糖管理を意識していきましょう。 院長 松尾俊宏
