足の小さな異変が命取りに?糖尿病患者さんにこそ必要なフットケアの基本!
- 2026年5月3日
- 糖尿病
みなさん、こんにちは。阪急芦屋川駅前の内科・糖尿病内科「芦屋まつおクリニック」、院長:松尾俊宏(まつおとしひろ)です。
このコラムコーナーでは、私の専門分野である糖尿病や内分泌代謝疾患、肥満症、そして訪問診療や終末期医療などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに
糖尿病の治療では血糖値の管理が重要ですが、同じくらい大切なのが「足の健康管理(フットケア)」です。
糖尿病患者さんでは、足の小さな傷や皮膚トラブルがきっかけとなり、重症化すると潰瘍や感染症、さらには足の切断につながるケースもあります。しかし、日常的なフットケアと早期の医療介入によって、多くの足のトラブルは予防することが可能です。
今回のコラムでは、糖尿病患者さんにとって重要なフットケアの基本について、わかりやすく解説していきたいと思います。
【糖尿病と足のトラブルの関係】
①糖尿病とはどのような病気?
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高くなる病気です。
食事をすると血糖値が上昇しますが、通常は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが血糖値を適切な範囲に調整します。
しかし糖尿病では、
・インスリンの分泌量が不足する
・インスリンの働きが低下する
といった原因により、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
高血糖の状態が長期間続くと、全身の血管や神経にダメージが蓄積し、さまざまな合併症を引き起こします。
その中でも足のトラブルに深く関係するのが「糖尿病神経障害」です。
【糖尿病神経障害とは】
糖尿病神経障害とは、高血糖によって神経がダメージを受ける合併症です。
糖尿病の合併症の中でも比較的早い段階で現れることが多く、特に足の神経に影響が出やすいとされています。
主な症状
糖尿病神経障害では、次のような症状が現れることがあります。
・足のしびれ
・ピリピリする痛み
・感覚の鈍さ
・冷えや違和感
・足の感覚が鈍くなる
多くの場合、両足先から症状が始まり、徐々に広がるのが特徴です。
神経障害が進行すると、痛みや傷に気付きにくくなるため、足のトラブルが重症化しやすくなります。
【糖尿病患者に多く見られる足の症状】
糖尿病患者さんでは、次のような足のトラブルが比較的多く見られます。
①皮膚の乾燥・ひび割れ
糖尿病では皮膚の血流が低下しやすく、足の皮膚が乾燥してひび割れを起こすことがあります。小さなひび割れでも、そこから細菌が侵入し感染症を起こす可能性があります。
②タコ・ウオノメ
歩き方や足の変形などによって、足の一部に圧力が集中するとタコやウオノメができやすくなります。これらが悪化すると、皮膚の奥で炎症や潰瘍が起こることがあります。
③巻き爪・爪のトラブル
糖尿病患者さんでは、爪の変形や巻き爪が起こりやすくなります。爪が皮膚に食い込むと傷ができ、そこから感染症が広がることもあります。
④傷や潰瘍
小さな靴ずれや傷でも、糖尿病では治りにくく、「足潰瘍(足の深い傷)」へと進行することがあります。
【フットケアの必要性】
糖尿病患者さんにとって、フットケアは単なる足のケアではなく、重症化を防ぐための重要な医療的ケアです。
糖尿病では次の2つの問題が重なります。
①神経障害による感覚低下
神経障害があると、
・痛みを感じにくい
・傷に気付きにくい
という状態になります。
②血流障害による治癒の遅れ
糖尿病では血流が悪くなるため、傷が治りにくい感染が広がりやすいといった特徴があります。この2つが重なることで、小さなトラブルが重大な問題に発展する可能性があります。
【フットケアをしないとどうなる?】
適切なフットケアを行わない場合、足のトラブルが次のように進行する可能性があります。
- 小さな傷や靴ずれ
- 感染症
- 足潰瘍
- 壊疽(えそ)
- 足の切断
実際に糖尿病患者さんの足切断の多くは、小さな傷がきっかけとなっています。
しかし早期に対処すれば、多くのケースで重症化を防ぐことができます。
【自宅でできる足のチェック】
糖尿病患者さんには、毎日の足のチェックをおすすめします。
次のようなポイントを確認しましょう。
①足の皮膚
・傷がないか
・赤みや腫れがないか
・水ぶくれがないか
②足の裏
足の裏は見えにくいため、鏡を使うと確認しやすくなります。
③指の間
指の間は湿気がたまりやすく、水虫や感染症が起こりやすい場所です。
④爪の状態
・巻き爪
・爪の変形
・爪周囲の赤み
こうした変化があれば、早めに医療機関に相談しましょう。
【正しい爪切りのポイント】
糖尿病患者さんでは、爪の切り方にも注意が必要です。
①爪はまっすぐ
切る爪の角を深く切りすぎると、巻き爪の原因になります。理想的なのは、スクエアカットと呼ばれる切り方です。
②深爪をしない
深爪は皮膚を傷つけやすく、感染症の原因になることがあります。
③視力が悪い場合は無理をしない
見えにくい状態で爪を切ると、皮膚を傷つける危険があります。
その場合は医療機関や専門家に相談しましょう。
【タコ・ウオノメの処置で注意すること】
タコやウオノメがある場合、自分で削ったり、市販の薬を使用したりする方もいます。しかし糖尿病患者さんの場合、自己処置は危険なことがあります。
理由として、
・皮膚を傷つける可能性
・感染症のリスク
などが挙げられます。特に「市販のウオノメ用薬(角質を溶かす薬)」は、健康な皮膚にも影響を与えることがあるため注意が必要です。
タコやウオノメがある場合は、医療機関で適切な処置を受けることをおすすめします。
【当院のフットケア】
当院では、日本糖尿病学会糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、総合内科専門医の資格を持つ医師が糖尿病診療を行っています。
糖尿病患者さんの足の健康を守るため、フットケアにも力を入れています。
フットケアでは、
・足の状態のチェック
・皮膚トラブルの早期発見
・爪の状態の確認
・足のセルフケア指導
などを行い、足の合併症予防をサポートしています。
【足を守ることが健康寿命を守る】
糖尿病患者さんにとって、足の健康管理は非常に重要です。
足の小さな異変を見逃すと、
・足潰瘍
・感染症
・足の切断
といった深刻な問題につながる可能性があります。
しかし、日常的なフットケア定期的な医療チェック血糖管理を行うことで、多くの足のトラブルは予防することができます。
当院では、糖尿病治療だけでなく、フットケアを含めた総合的な糖尿病管理を行っています。足の違和感やトラブルが気になる方は、芦屋まつおクリニックまでお早めにご相談ください。大切な足を守ることが、健康で充実した生活を続けることにつながります。 院長 松尾俊宏
