インスリン発見から100年・・・今後インスリン製剤開発へ期待するもの
- 2024年8月13日
- 糖尿病
前回のアウィクリの話に続き、今回もインスリン製剤の話になります。
インスリンが発見されるまで、糖尿病(主に1型糖尿病)の有効な治療方法はありませんでした。
インスリンは100年前に発見され、それ以降いろいろなインスリン製剤が開発され、血糖コントロールはどんどん良くなっていきました。
前回お話した、アウィクリも一昔前には想像もしていなかったインスリン製剤です。
ですがインスリンの投与方法は100年間かわらず、現在も注射しか投与方法はありません。
今回お話する内容はインスリンの経口製剤についてです。
経口インスリンは、長年研究されていますが、問題点も多く治療薬としてはいまだ世に出てきていません。
経口では吸収率に限界があり、一定の効果を得ることが難しいからです。
今回、持効型インスリンに吸収促進薬カプリン酸ナトリウムを添加したイスリン(I 338)が開発されました。
このインスリンの効果は既存の基礎インスリンであるグラルギン(IGla)と同等の効果があることが確認されました。
しかし、一定の効果を得るためには高容量必要だったため、残念ながら商品化には至りませんでした。
ですがヒトを対象とした臨床研究で大きな結果を得ることができ、大きな進歩だと思います。
あと少し技術が進歩し、商品化につながることを期待しています。
経口インスリンになれば、注射回数を減らすことができます。
高齢の糖尿病患者さんへのインスリン導入は、インスリン注射手技獲得が難しく断念したこともあります。
経口薬になることでインスリン治療が容易くなり、患者さん・家族・医療者の負担を減らすことが可能になるでしょう。
今回は商品化は無理でしたが、いつかみんなの負担を軽減できるインスリンが出てくることを期待しています。
うんざりするような暑さが続いていますが、皆さん熱中症対策をしっかりやっておきましょう。
コロナ感染症も増えてますので、暑いですが感染対策もがんばりましょう。
当院では、午前診・午後診で発熱外来をやっていますので、風邪症状で検査・治療を希望される方は遠慮なくご連絡ください。
院長 松尾