失明・腎不全・神経障害を防ぐために知っておきたい「糖尿病三大合併症」と予防法!
- 2026年5月3日
- 糖尿病
みなさん、こんにちは。阪急芦屋川駅前の内科・糖尿病内科「芦屋まつおクリニック」、院長:松尾俊宏(まつおとしひろ)です。
このコラムコーナーでは、私の専門分野である糖尿病や内分泌代謝疾患、肥満症、そして訪問診療や終末期医療などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに
糖尿病と聞くと「血糖値が高くなる病気」というイメージを持つ方が多いかもしれません。
しかし本当に注意すべきなのは、糖尿病そのものよりも長期間の高血糖によって引き起こされる合併症です。
特に重要なのが、糖尿病三大合併症と呼ばれる次の3つの病気です。
- 糖尿病網膜症(失明の原因)
- 糖尿病腎症(腎不全・透析の原因)
- 糖尿病神経障害(しびれや感覚低下)
これらは進行すると日常生活に大きな影響を与える可能性があります。
しかし、適切な治療と定期的な検査によって予防・進行抑制が可能です。
今回のコラムでは、糖尿病三大合併症の特徴と予防方法について、詳しく解説していきたいと思います。
【糖尿病とはどのような病気?】
糖尿病とは、血液中のブドウ糖(血糖)が慢性的に高い状態が続く病気です。
通常、食事をすると血糖値が上昇しますが、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンによって血糖値は適切にコントロールされます。
しかし次のような状態になると血糖値が下がりにくくなります。
・インスリンの分泌量が不足する
・インスリンの働きが弱くなる(インスリン抵抗性)
その結果、血糖値が高い状態が続き、体の血管や神経にダメージを与えてしまいます。
糖尿病の怖さは、初期にはほとんど自覚症状がないことです。そのため、知らないうちに病気が進行し、合併症が現れて初めて気付くケースも少なくありません。
【糖尿病が引き起こす合併症】
糖尿病が長期間続くと、体のさまざまな血管や神経に障害が起こります。
特に問題となるのは、細い血管(毛細血管)が障害されることです。
この影響によって、次の三大合併症が起こります。
・糖尿病網膜症
・糖尿病腎症
・糖尿病神経障害
これらは進行するまで症状が出にくいため、定期的な検査による早期発見が非常に重要です。
【糖尿病三大合併症】
①糖尿病網膜症(視力低下・失明の原因)
糖尿病網膜症は、目の奥にある網膜の血管が障害される病気です。
網膜は光を感じ取る重要な組織であり、ここに異常が起こると視力に大きな影響を及ぼします。
糖尿病網膜症は、日本において失明原因の上位を占める病気として知られています。
血糖値が高い状態が続くと、網膜の血管が傷つき、次のような変化が起こります。
・血管が詰まる
・血管が破れる
・異常な新生血管ができる
この結果、出血や網膜剥離などが起こり、視力が低下していきます。
初期症状がほとんどない
糖尿病網膜症の怖いところは、かなり進行するまで自覚症状が少ないことです。
次のような症状が出た場合は、すでに進行している可能性があります。
・視界がぼやける
・黒い点が見える(飛蚊症)
・視野が欠ける
そのため、糖尿病患者では定期的な眼科検査が重要になります。
②糖尿病腎症(透析につながる可能性
糖尿病腎症は、腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。
腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を尿として排出する重要な臓器です。しかし糖尿病によって腎臓の細い血管が傷つくと、腎機能が低下してしまいます。
糖尿病腎症は、日本において人工透析導入の原因として最も多い病気です。
腎症が進行すると、
・尿にタンパクが出る
・むくみが出る
・腎機能が低下する
といった症状が現れます。さらに進行すると、腎臓がほとんど機能しなくなり、人工透析が必要になる可能性があります。
早期発見が重要
糖尿病腎症は、早期の段階では自覚症状がほとんどありません。
そのため、
・尿検査
・血液検査
などによる定期的なチェックが重要になります。
③糖尿病神経障害(しびれ・痛み・感覚低下)
糖尿病神経障害は、高血糖によって神経がダメージを受ける病気です。
糖尿病の合併症の中でも、比較的早い段階から現れることが多いとされています。
代表的な症状
糖尿病神経障害では、次のような症状が見られます。
・手足のしびれ
・ピリピリした痛み
・感覚の鈍さ
・足の違和感
多くの場合、両足先から症状が出るのが特徴です。
足のトラブルにつながることも
神経障害が進行すると、痛みを感じにくくなる傷に気付きにくくなるといった状態になります。
その結果、
・足の潰瘍
・感染症
などが起こり、重症化すると足の切断が必要になるケースもあります。そのため、糖尿病患者ではフットケアが非常に重要です。
【三大合併症を予防するために行う検査】
糖尿病の合併症は、早期発見によって進行を防ぐことができます。
当院では、合併症のリスクを評価するために次のような検査を行っています。
①動脈硬化検査(血管年齢検査・頸動脈エコー)
糖尿病は動脈硬化を進めやすい病気です。
動脈硬化検査では、
・血管の硬さ
・血流の状態
などを評価し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを確認します。
②神経伝導速度検査
糖尿病神経障害を評価するために、神経伝導速度検査を行うことがあります。
この検査では、神経の伝達速度を測定し、
・神経障害の有無
・障害の程度
を客観的に評価します。
早期の神経障害を発見することで、症状の進行を防ぐことができます。
③尿検査、腎臓エコー
腎臓の合併症を評価するために、尿検査、腎臓のエコーを行うことがあります。
これらの検査では、
・尿蛋白量の量
・腎臓のサイズ・形
を見ることで腎臓の合併症のステージを評価することが可能です。
早期に腎症を発見することで、腎症の進行を予防することができます。
【三大合併症を予防するための生活習慣】
糖尿病の合併症を防ぐためには、血糖値を安定させることが最も重要です。
そのために、次のような生活習慣を心がけましょう。
①食事管理
糖尿病治療では食事管理が基本となります。ポイントは次の通りです。
・栄養バランスの良い食事
・食べ過ぎを避ける
・糖質の過剰摂取を控える
当院では、管理栄養士による栄養指導を実施し、患者さま一人ひとりの生活スタイルに合わせた食事管理をサポートしています。
②適度な運動
運動には、
・血糖値を下げる
・インスリンの働きを改善する
といった効果があります。ウォーキングなどの有酸素運動を、無理のない範囲で継続することが大切です。またレジスタンス運動も重要であり、個々の状態に合わせた運動負荷で行うことが大切です
③足のケア(フットケア)
糖尿病では足のトラブルが起こりやすいため、日頃から足の状態をチェックすることが重要です。当院では、糖尿病患者さまに対してフットケアを実施し、足の健康管理をサポートしています。
【合併症は「予防できる病気」です】
糖尿病三大合併症である
・糖尿病網膜症
・糖尿病腎症
・糖尿病神経障害
は、進行すると生活の質(QOL)を大きく低下させる可能性があります。
しかし、糖尿病治療を適切に行い、定期的な検査を受けることで、多くの場合は予防や進行抑制が可能です。
当院では、糖尿病専門医、内分泌代謝科専門医、総合内科専門医の資格を持つ医師が、患者さま一人ひとりに合わせた診療を行っています。
また、
・栄養士による栄養指導
・専門の看護師によるフットケア
・合併症の早期発見のための各種検査
を通じて、糖尿病患者さまの健康管理を総合的にサポートしています。
糖尿病と診断された方、血糖値が気になる方は、将来の合併症を防ぐためにも、ぜひお早めに、芦屋まつおクリニックまでご相談ください。 院長 松尾俊宏
