「運動が苦手」でも大丈夫 〜肥満症治療に必要な運動の考え方〜
- 2026年6月4日
- 肥満症
みなさん、こんにちは。阪急芦屋川駅前の内科・糖尿病内科「芦屋まつおクリニック」、院長:松尾俊宏(まつおとしひろ)です。
このコラムコーナーでは、私の専門分野である糖尿病や内分泌代謝疾患、肥満症、そして訪問診療や終末期医療などについて、患者さんのお役に立てる情報を発信していきたいと考えています。
はじめに
「運動が苦手だからダイエットは続かない」「ジムに通わないと痩せられないのでは?」
肥満や体重増加に悩む方の中には、このように感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、肥満症の治療において重要なのは、激しい運動や特別なトレーニングではありません。
むしろ、日常生活の中で無理なく続けられる運動習慣を身につけることが大切です。
運動は体重を減らすだけでなく、血糖値や血圧の改善、脂肪燃焼の促進、さらには心身の健康維持にも役立ちます。
一方で、「頑張りすぎる運動」は長続きしないことも少なくありません。
今回のコラムでは、肥満症の基本的な考え方から、肥満症治療に有効な運動の種類、そして運動を長く続けるためのコツについて、わかりやすく解説していきたいと思います。
【肥満症とは? 単なる「太りすぎ」とは違う病気】
まず理解しておきたいのが、「肥満」と「肥満症」の違いです。
肥満は、体脂肪が過剰に蓄積した状態を指します。
医学的には、体格指数である「BMI(Body Mass Index)」によって判断されます。
BMIは次の式で計算されます。
BMI=体重(kg)÷身長(m)²
日本では一般的に、BMI25以上を肥満としています。
ただし、肥満だからといって必ずしも病気とは限りません。
肥満に加えて、次のような健康障害がある場合に肥満症と診断されます。
・2型糖尿病
・高血圧
・脂質異常症
・脂肪肝
・睡眠時無呼吸症候群
・変形性膝関節症
つまり肥満症とは、肥満によって健康に悪影響が出ている状態のことです。
そのため、肥満症の治療では体重を減らすことだけでなく、生活習慣全体を見直すことが重要になります。その柱となるのが食事療法と運動療法です。
【なぜ運動が肥満症治療に重要なのか】
肥満症治療では、食事管理だけで体重を減らすことも可能です。
しかし、運動を組み合わせることで、より健康的な体重減少が期待できます。
運動には次のような効果があります。
・エネルギー消費を増やす
・体脂肪を減らす
・筋肉量を維持・増加させる
・基礎代謝を高める
・血糖値を改善する
・ストレスを軽減する
特に重要なのは、筋肉量を保つことです。
食事制限だけで体重を減らすと筋肉も減少し、基礎代謝が低下してリバウンドしやすくなります。運動を取り入れることで、脂肪を減らしながら健康的に体重を減らすことが可能になります。
【肥満症治療に有効な運動の種類】
運動にはさまざまな種類がありますが、肥満症治療では主に次の2種類が重要とされています。
・有酸素運動
・筋力トレーニング
それぞれの特徴を理解して、無理のない範囲で取り入れることが大切です。
<有酸素運動:脂肪燃焼に効果的な運動>
有酸素運動とは、酸素を使ってエネルギーを生み出す運動のことです。比較的軽い負荷で長時間続けられるのが特徴です。代表的な有酸素運動には次のようなものがあります。
・ウォーキング
・軽いジョギング
・サイクリング
・水泳
・エアロビクス
特におすすめなのが「ウォーキング」です。特別な設備や準備が必要なく、日常生活の中で取り入れやすい運動です。
例えば、
・通勤で一駅分歩く
・エレベーターではなく階段を使う
・買い物に歩いて行く
といった小さな工夫でも、運動量を増やすことができます。
<筋力トレーニング:代謝を高める運動>
筋力トレーニングは、筋肉を鍛える運動です。筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、エネルギーを消費しやすい体になります。自宅でもできる簡単なトレーニングとしては、次のようなものがあります。
・スクワット
・腹筋運動
・プランク
・腕立て伏せ
特にスクワットは、太ももやお尻などの大きな筋肉を鍛えることができるため、効率的にエネルギー消費を増やすことができます。
ただし、肥満の方は膝や腰に負担がかかることもあるため、無理のない範囲で行うことが大切です。
【運動を長く続けるためのコツ】
運動療法で最も大切なのは、「継続すること」です。
どれほど効果的な運動でも、短期間でやめてしまっては十分な効果は得られません。
運動を長く続けるためには、いくつかのポイントがあります。
まず重要なのは、最初から頑張りすぎないことです。「毎日1時間運動する」といった高い目標を立てると、続けることが難しくなります。最初は「1日10分のウォーキング」など、無理のない目標から始めることが大切です。
次に、生活の中に運動を組み込むことです。例えば「運動の時間を作る」のではなく、「通勤や買い物を運動の機会にする」と考えると、自然と体を動かす時間が増えていきます。
さらに、楽しめる運動を見つけることも重要です。ウォーキング中に音楽を聴いたり、家族や友人と一緒に運動したりすることで、運動の習慣化につながります。
また、体重だけを目標にしないこともポイントです。体重は日によって変動するため、それだけを目標にするとモチベーションが下がりやすくなります。
「階段を使う習慣がついた」「歩く距離が増えた」など、生活の変化を評価することが、長く続けるコツです。
【医療のサポートで無理のない肥満症治療を】
肥満症の治療では、自己流のダイエットだけではうまくいかないことも少なくありません。
当院では、
・日本糖尿病学会 糖尿病専門医
・日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医
・日本内科学会 総合内科専門医
の資格を有する院長の私が診療を担当し、肥満症や生活習慣病の治療を行っています。
また、管理栄養士による栄養指導を実施しており、患者さんの生活スタイルに合わせた食事改善のサポートを行っています。
さらに、私は兵庫医科大学病院勤務時代に「肥満外科外来」の立ち上げに参画しており、肥満症治療に関する専門的な経験を有しています。
「体重が増えてきた」「運動が続かない」「健康診断で肥満を指摘された」といったお悩みがある方は、どうぞお気軽に芦屋まつおクリニックまでご相談ください。
無理なく続けられる生活習慣の改善が、将来の健康を守る大きな一歩になります。
気になることがありましたら、芦屋まつおクリニックにご相談ください。院長 松尾俊宏
